
こんにちは!
自らの経験を元に『体の健康』『お金の健康』を大切にしている、
静岡県浜松市 創業100年 株式会社野沢建築 4代目代表取締役 野沢理(おさむ)です。
今日は、私自身の子どもの頃の話と、親になって初めて気づいた父のことをお話しします。
毎晩、父は起きてくれた
私は3歳で、小児喘息を発症しました。
夜中になると、突然始まるんです。
ゼーゼー。
ゴホゴホ。
息が吸えない。
布団の上で身体を起こして、肩で息をする。
あの苦しさは、今でも忘れません。
そのたびに、父が起きてきました。
背中をさすってくれる。
薬を飲ませてくれる。
それでも治まらなければ、車を出して、夜間の救急へ連れて行ってくれる。
毎晩のように、です。
ほとんど日課のようでした。
正直にお伝えすると。
当時の私は、そんな父に感謝なんてしていませんでした。
友達のように走り回れない。
みんなと同じことができない。
「なんで、僕だけ…」
子供心にそう思って、正直、親を怨んだことさえあります。
父がどんな顔で運転していたのか。
その夜、何時間眠れたのか。
そんなことを考えたことは、一度もありませんでした。

なぜ、発作は決まって夜だったのか
大人になって、建築の世界に入ってから知ったことがあります。
喘息の発作が夜間から明け方に起きやすいのには、ちゃんと理由があるんです。
まず、自律神経。
夜は身体を休める副交感神経が優位になり、気道が収縮しやすくなる。
複数の医療機関が、そう説明しています。
そして、明け方の冷え込み。
気温が下がると、敏感になっている気道が刺激を受けやすくなる。
さらに、寝具のハウスダスト。
日中は舞っていたホコリやダニが、夜は寝具のまわりに集まっている。
つまり。
私が毎晩苦しんでいたあの時間は、体の問題であると同時に、「家の中の環境」とも無関係ではなかった。
もちろん、喘息の原因は一つではありません。
体質も、季節も、アレルゲンも関わります。
家さえ変えれば治る、なんてことは口が裂けても言えません。
ただ、「夜」「冷え込み」「ホコリ」という言葉が並んだとき、私は工務店として、うつむくしかなかったんです。
そこは、まさに私たちが扱っている領域だったから。

親になって、初めて分かったこと
私に子どもが生まれました。
ある夜、子どもが熱を出して、咳き込んで、なかなか寝つけない。
背中をさすりながら、時計を見る。
午前2時。
まだ朝は遠い。
その瞬間でした。
──父は、これを毎晩やっていたのか。
視点が、息子から父親へ、音を立てて切り替わった気がしました。
あの頃の父は、翌朝も現場に出ていました。
何事もなかったような顔をして、職人さんたちと働いていた。
睡眠を削って、仕事に行って、また夜になれば私の背中をさする。
それを何年も。
親として当然のことをしただけだ、と父なら言うでしょう。
でも、当然のことを何年も続けることが、どれほど大変か。
親になって初めて、分かりました。
今では、感謝の気持ちで一杯です。
「継続は力なり」
父の口癖です。
私はこの言葉を、経営の話としてずっと聞いてきました。
でも違ったんですね。
父は、あの毎晩の背中さすりで、それを実際にやってみせていた。
父にできたこと、家にできること
ここからは、工務店としての話をさせてください。
父がしてくれたことに、代わりはありません。
背中をさする手。
救急へ走る車。
あれは、家では絶対に代われない。
ただ。
父が「気合い」で守ってくれた部分の中に、家が引き受けられる部分もあったはずなんです。
たとえば、温度。
世界保健機関(WHO)は2018年の「住宅と健康に関するガイドライン」で、寒さから健康を守るために、家の中の最低室温を18℃以上に保つことを強く勧告しています。
とくに子どもや高齢者にはもっと暖かく、とされています。
では、日本の家はどうか。
研究者の調査では、冬の早朝に室温が10〜13℃程度まで下がる住宅が珍しくないと報告されています。
10℃台前半。
あの、私が咳き込んでいた明け方の家も、きっとそうでした。
WHOのガイドラインでは、室温を18℃以上にすることと呼吸器系の疾患リスクとの関係について、エビデンスの確実性は「中程度」と評価されています。
断言はできない。
そこは正直にお伝えします。
でも、中程度でも、根拠はある。
そして、その温度をつくれるのは、私たち工務店なんです。
ここで、断熱と気密の話を、布団にたとえさせてください。
羽毛布団が暖かいのは、羽毛そのものが発熱するからではありません。
羽毛が抱え込んだ「動かない空気の層」が、熱を伝えにくいからです。
寝具メーカーも、そう説明しています。
これが、断熱。
そして、布団を掛けていても、肩や首元に隙間があると、そこから冷気が入って寒くなる。
どんなに良い羽毛布団でも、です。
これが、気密。
家も、まったく同じなんですね。
どれだけ断熱材を入れても、隙間だらけなら、朝には冷えてしまう。
だから私たちは、C値0.5以下・UA値0.46以下(HEAT20 G2グレード)を標準とし、全棟で気密測定を行っています。
気密は、図面ではなく現場の丁寧さでしか出せない数字だからです。
その現場を、第三者にも見てもらいました。
Japan Housing Quality Award 2025で、私たちが施工した住宅が建物部門の最優秀賞をいただきました。
評価したのは、株式会社NEXT STAGE。
社内の自己採点ではなく、外の目で確かめてもらった結果です。
換気も同じ考えです。
第一種換気「エクリア」を標準に、ホコリや外気の影響をやわらげてから室内に取り込む。
アレルギーが治る、とは言えません。
でも、アレルゲンを減らし、明け方に冷え込まない家をつくることはできる。
→ [野沢建築の性能・仕様について詳しくはこちら]
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私が次の世代に渡したいもの
私が父からもらったものは、健康な体ではありませんでした。
もらったのは、毎晩起きてくれた事実。
そして「継続は力なり」という言葉。
私は、あの夜の父の代わりにはなれません。
どんなに性能の良い家を建てても、子どもの背中をさすってくれるのは、やっぱり親です。
だから私が家づくりでやりたいのは、親を助けることなんです。
夜中に起きる回数が、少しでも減るように。
明け方の廊下が、凍えるほど寒くならないように。
親が、翌朝を笑って迎えられるように。
あの夜、父がひとりで背負っていた重さを。
家が、少しだけ肩代わりできたらいい。
創業100年。
私たちがこの100年で受け継いできたのは、工法や道具だけではありません。
「家は、そこに住む家族の毎日を守るためにある」という、当たり前の話です。
その当たり前を、次の100年に渡したいと思っています。
まとめ
最後に、今日お伝えしたかったことを整理します。
– 私は3歳から小児喘息で、毎晩のように父が起きて背中をさすってくれた
– 喘息の発作が夜間・明け方に多いのには、自律神経・冷え込み・寝具のホコリという理由がある
– 親になって初めて、あの毎晩を続けた父の偉大さが分かった
– WHOは家の中の最低室温18℃以上を勧告。日本では冬の早朝に10〜13℃まで下がる住宅も珍しくない
– 家は親の代わりにはなれない。でも、親の負担を肩代わりすることはできる
家づくりは、性能の話であると同時に、家族の夜の話でもあります。
親を怨んだ子どもだった私が、いま親になって、家を建てています。
これが、私が高性能な家にこだわる、いちばん個人的な理由です。
言葉だけでは伝わりにくい部分だと思っています。
実際にどんな家をつくってきたのか、よければのぞいてみてください。
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「うちの子、夜になると咳が出るんです」
そんな話から始まる相談も、少なくありません。
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